明日が楽しみになる日記

おっちょこちょい、人見知り、小心者のこっこが好奇心だけで世界を旅します。

マールセン Airbnbホスト1

旅の経験から得られるものはたくさんありますが、私は今まで知り得なかった素敵な人たちとの出会いが一番の醍醐味だと思います。マールセンでの滞在は私にそのことを強く実感させるものとなりました。f:id:ashitagatanoshimi:20190501120659j:image

その日Airbnbに戻って日記を書いているところに、Loekieが来ました。「灯りがついてたから戻ってきたんだと思ったの。うちでお茶でもどう?」お言葉に甘えてLoekieとGaryのお宅でお茶をごちそうになることになりました。Garyはこのときスーパーまで買出しに行っていました。「Garyにはゲストのこといろいろ詮索するのはいけないって言われてるんだけどね。」と茶目っ気たっぷりに前置きしながら、Loekieは私が日本でどんなことをしているのかを聞きたがりました。私は自分の出身地のこと、お仕事のこと、地方出身の私は都会の生活が時々つかれることなどを話しました。Loekieは先月ベルギー旅行に行ったときのお土産のピエール・マルコリーニを出してきては「これも食べちゃおうっか」と言いました。Garyの居ぬ間にチョコレートの味についてあーでもないこーでもないと話しながら、2人でぱくぱくと食べ進んでしまいました。これほどチャーミングな女性を私は他に知りません。

Garyがお買い物から戻ってきてからは、1980年に日本に滞在したときのことを2人とも目を輝かせながら聞かせてくれました。Garyの職業はArt Historianです。レンブラントをはじめとしてオランダの画家のことを研究していて、たくさんの書籍を出版しています。日本に来たのは、そのとき制作していた「Charlotte」を印刷するためでした。第2次世界大戦中のことを記した書物としては「アンネの日記」があまりにも有名ですが、Garyはある展覧会で見たCharlotte Salomonという女性が書いた絵と文章に感銘を受け、本という形で世に出すことでCharlotte が第2次世界大戦期を懸命に生きたことを残そうとしました。f:id:ashitagatanoshimi:20190501120841j:image

出版に際していろんな国の印刷会社をあたったそうです。というのも、Charlotteの印刷には特殊な技術を要したためです。当時、日本の大日本印刷が唯一Garyたちの希望する印刷技術を持ち合わせていたことで日本で印刷することになったそうです。大日本印刷にとっても自分たちの印刷技術を世界にアピールする好機だったことから、破格の条件で請け負ってくれたと言っていました。またホテルニューオータニに滞在していたということ、大日本印刷のホリウチさんという方にとってもよくしてもらったこと、皇居の近くを散歩していたときにはスペイン国王を見かけたこと、日本での思い出はどれもすばらしかったと言っていました。この滞在中にオランダ語、ドイツ語、英語の3ヶ国語のCharlotteが刷り上がりました。2人は言語の取り違えがないか、印刷の仕上がりに問題ないかをチェックするため缶詰めになって作業しました。1980年の6週間を昨日のことのように話す2人の姿を見て、私も嬉しい気持ちになりました。

夕方になりその日の夕飯の買出しに出かけて戻ってきたところ、再びLoekieがコテージをだずねて来ました。

またもや買いすぎてしまったスーパーの袋。

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「今日のアペタイザーにどうぞ」と言って先ほどGaryがスーパーで買出しに行った材料(じゃがいもとりんご)で作った料理を運んできてくれました。
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この日は、用意してもらった炊飯器でご飯も炊いて豪華なディナーとなりました。