明日が楽しみになる日記

おっちょこちょい、人見知り、小心者のこっこが好奇心だけで世界を旅します。

淡水の夕焼け

台湾滞在中、困ったなと思ったことはちょこちょこあったのですが辛いなとか、悲しいなと思ったことはありませんでした。でも一度だけ、泣いてしまったことがあります。今日はその日のことを書こうと思います。

その日はとても天気が良い日でした。授業が終わった午後、お友達やホストファミリーとの約束も特になかった私はずっと気になっていた淡水に夕日を観にいくことにしました。淡水はデートスポットとしても知られる観光地で、お天気のよい日には綺麗な夕日が見れることで有名です。あいにく私はソロ活動中の身ではありましたが、ぜひ台湾滞在中に見ておきたいと思っていました。

平日の午後、淡水駅に向かうMRTは空いていてぽかぽか陽気だったこともあって眠りそうになりました。淡水についてからは、お昼をまだ食べていなかったのでベーカリーでパンを買ってベンチで食べることにしました。

フェリー乗り場に行くと、威勢のいい切符売りのおばさんから声をかけられました。往復120元のチケットを買い、漁人碼頭へ向かいます。漁人碼頭についてからは夕焼けにはまだまだ時間が早かったので、Youbikeに乗ってサイクリングをしたり、Starbucksで授業の予習をして夕焼けの時間がくるのを待ちました。

うさぎたちや、
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犬もいます。

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夕方になるにつれ、次第に人が多くなってきました。
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淡水はうわさに聞いていた通りの場所でした。私はこの日見た景色を忘れたくないなと強く思いました。満足したところで、帰りのフェリーに乗るべく乗り場に向かいます。係のお兄さんに近づくと「もう、フェリーはないよ」とつれなく言われました。がーん。最終のフェリーは17:00だったのです。おそらくフェリー乗り場には時刻表が書いてあったのでしょうが、チケットを買ったときも特には何も言われなかったことと、夕日の有名スポットなのだから夕日が沈んだ時間にもフェリーはあるはずと思い込んでいたのです。これは痛恨のミスです。「往復のチケット買っちゃったんだけど」と強面のお兄さんにいうと、「窓口で返金してもらえば」とこれまたそっけなく窓口を指差されました。
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しょんぼりしながら、チケット売り場の窓口に向かいます。ですが、最終のフェリーが終わった時間にチケット売り場が開いているはずもなくカギのしまったチケット売り場を確認しただけでした。最終フェリーが行ってしまったあと、淡水駅に戻るには数100m先のバス停からバスで戻る方法があります。さっきまで夕日をみて胸いっぱいになった気持ちもどこへやら、私は魂の抜けた状態でとぼとぼとバス停に向かって歩き出しました。

するとそこへ、一台のバイクが近づいてきて私に声をかけてきました。最初は変な人かも知れないからと無視していたのですが、何度目かの呼びかけに振り返ると、そこにはさきほどぶっきらぼうに対応してくれたフェリー乗り場のお兄さんがいました。お兄さんは、私に60元を「ほら」と手渡しました。帰り分のチケットの代金を返金しに、わざわざ私を追いかけてきてくれたのでした。のろのろと歩いていたとは言え、そのときは既にチケット売り場からかなり離れたところにいましたし、大勢の人がバス乗り場に向かって歩き出す中、私を見つけて追いかけて来るのは大変だったのではないかと思いました。私がお礼を言うと、お兄さんは表情も変えずにぷいっと方向転換してフェリー乗り場の方向に帰っていきました。

淡水の駅に向かうバスに乗りながら、なんだかわからないけど涙が出てきました。日本への帰国日が近づいてきて感傷的になっていたのだと思います。日本へ戻ることの不安は、元気に転職活動をがんばれるだろうかということでした。実はこの日の前の日、「台湾に来て一緒に働かない?」と誘ってくださった方のお誘いを正式にお断りしていました。台湾で生活することはかねてからの憧れで、中国語を勉強し始めた際の大きなモチベーションのひとつでもありました。そして今回の台湾滞在中、私が以前からあこがれている女性で台湾で起業している方からありがたすぎるお誘いを頂いていたのでした。それでも、日本に戻って働くと決めたのはいろいろ悩んで出した自分なりの結論でした。そこに綺麗な夕日をみて、ぶっきらぼうだけど親切なお兄さんに助けていただいて、悲しいのでも嬉しいのでもない涙があとからあとから出てきました。周りの人にはソロ活動中の情緒不安定なヤツに写っていたはずです><。

日本で新しいお仕事を始めたいま、自分の選択が本当に良かったのかと考える日がないかというとウソになります。それでも以前より力を抜いて、自分らしく過ごせていることに気づいて嬉しくなる日もあるのです。